このコンサートは、小金井を拠点に活動する声楽家、小林勉さん、小林かなこさんのお二人が主催する女声アンサンブル「女声合唱le colorate(レ・コロラーテ)」によるもの。
平日クラス、土日クラスの2つグループによる合唱を聴きました。
気になる声楽家のおふたりに聞いてみた!
小林勉さん(T)、小林かなこさん(K)
声楽家になろうと思ったきっかけを教えてください。
T:子供の頃からピアノや合唱をやってきて、地元で中学生まで続けてきました。
高校進学で進路を考えるうちに一番やりたいことを考え、
県外に一人暮らしで音楽科がある高校を受験したのがスタートです。
K:私は一般的なルートとは違うのですが、
大学在学中に、自分の声のコンプレックスに向き合おうとしてボイストレーニングを受けたのがきっかけです。
声楽やオペラの世界に興味を持ち、何年もかけてこちらの世界にやってきました。
元々はオペラや声楽に興味はなかったのですが、
知れば知るほど面白くなっていって…。
沼にハマってしまったような感じです。
職業柄、日常生活で気をつけていることはありますか。
T:ストレスを溜めないということでしょうか。
仕事柄、人前に立つことが多く緊張感のある場所も少なくありません。
ただ、人前での仕事が多いと言っても、外行きの自分ばかりでは疲れてしまいます。
取り繕うことなく自然体の自分でいるためにも、ストレスを溜めない生活ということが大切です。
特に私たち声楽家は楽器が体の中にあります。
日常が楽器のコンディションを左右しやすいのでストレスを溜めないというのは大切だと考えています。
K:毎日バタバタしているので、
特に気をつけられていることは無いかも知れません…。
でも日々忙しい中でも、まず自分の心身が健康であれるようにと心がけています。
日々、欠かさずしていることがあれば教えていただけますでしょうか。
T:いつもの通りを積み重ねるということでしょうか。
本番前だけトレーニングを多くする、特別なトレーニングを積むなどはしません。
逆に体や喉を疲れさせて、メンタルにも緊張感が出やすいと考えています。
いつも通りトレーニングを行い、家族と過ごすというのが自分には大切です。
本番の日でも子供を幼稚園に送り、お風呂にいれ、一緒に寝ています。
こういう時間が案外メンタルの安定にも大切だと考えています。
K:些細なことですが、できるだけ快適な環境であるように、
飲みたいものを飲む、食べたいものを食べるなどです。
好きなコーヒーやハーブティー、好きな調味料やスパイスなどを常備しています。
声楽家ならではのエピソードがあれば教えてください。
T:声楽家の仕事の場合、毎日が定時出勤、決まった曜日が休みということがありません。
子供の幼稚園登園は、私が送っていくのですが
毎日通年で送っていっていたので、
とても長い育休をもらえる仕事をしていると思われているかもしれません笑
K:普段の格好と、ステージでのフルメイクした2パターンになってきて、
幼稚園のイベントなどで気合いを入れると「今日は演奏のお仕事ですか?」と聞かれて、
少し恥ずかしい気持ちになったりします。
音楽活動をする上でどんなところからインスピレーションを受けますか
T:海外ドラマ、映画、格闘技、旅行、お笑い…様々ですね。
いい音楽を演奏することはもちろんですが、
舞台に入ってくる歩き方、立ち姿、舞台袖に帰っていく時まで意識が必要です。
その意味では今の格闘技は入場にとても神経が行き届いていると思います。
入場だけでお金が取れるレベルだなと思うことも多いですね。
またクラシック音楽は、勉強してから聴きにいく方がいいと言われることがありますが、
私個人としては勉強などせず聴きにきてくださったお客様が
笑顔になるような公演を目指して行きたいと思っています。
その意味では海外ドラマや映画、お笑いなどからインスピレーションを受けることが多いです。
K:やはり普段の生活や、その時々での人生経験、考え方が、
音楽と向き合う時にも表れるように思います。
若い時は、「うまくできるかな」と自分のことばかり考えていたり
「あの人みたいになりたいな」と思っていたりもしましたが、
年齢や経験を重ねるにつれて「音楽活動を通じて新たな方に出会えることへの感謝」
「お稽古やコンサートで、他の方々と一緒に音楽を楽しめることのありがたさ」「一期一会であること」
などを毎回噛み締めるようになり、音楽もより楽しめるようになってきたように思います。
市内のお気に入りの場所、過ごし方を教えてください
T:「野川」や「はけの小径」などはお気に入りの場所ですね。
子供達と散歩にいくこともありますし、1人でウォーキングすることもあります。
K:実はコンサートのチラシを市内にお届けしたり、ポスティングさせていただくこともあるんです。
歩くたびに、知らない道や素敵な場所があって、小さなまちだけれど本当に味わい深い、
素敵なまちだと思っています。
個人的には、フォレスト・マムさんのマフィンの大ファンです。
活動する環境としての小金井の魅力を教えてください
T:小金井市民交流センター(小金井宮地楽器ホール)の存在が大きいと思います。
駅前である程度の収容人数のホールがあり、音響も素晴らしい。
そしてスタッフの皆様の仕事のお人柄もありがたく、
困ったことがあると相談できることも多いので、
舞台を創る上で助けていただくことも多いです。
道具を借りたり、打ち上げなどでもずっと利用している「jikka de dining」さんや、
公演での差し入れで喜んでもらえる和菓子の「ならは」さんなど、
素敵な店舗が多くあるのもありがたいです。
K:2014年から小金井市を拠点として「オペラ集団I CANTORI」の活動もしていまして、
段々と小金井市民の音楽仲間も増えてきました。
自分が実際に暮らしているエリアに、素敵な仲間がいたり、
活動をしていく中で素敵なお知り合いが増えたり…というのが、本当に楽しいです。
自然環境も素敵で、商業施設やお店などが充実していて生活もしやすく、人も素敵ですし、
なんでも揃っているまちという印象です。
音楽活動を通じて一番伝えていきたいことはなんでしょうか
T:一言で言えば「音楽のハブ的役割になっていきたい」ということでしょうか。
聴くことを楽しんでくれる方、実際に参加して舞台で歌ってみたい方、
舞台に立たなくても音楽の研鑽を積みたい方、子供達にも、子育て世代にも、
ご年配の方々にも色んな世代、環境の方々がそれぞれの楽しみ方をしてほしい。
その連携や接点となれるよう努力していきたいと考えています。
K:勉さんと同じく、音楽に対して、関わり合い方はさまざまにあると思うんです。
私たちのやっている活動と、マッチする方にしっかりお届けできるよう、NINFAのコンサートや、
オペラ団体での活動、また運営に関わってるお教室(STUDIO CANTIAMO、ぷちにんふぁ音楽教室)
などの活動をしっかりと発信していって、何かのきっかけや、音楽を聴く機会や、する機会を探している方に、
ちょうどマッチするものをご提示して、一緒に楽しめたら嬉しいです。
小金井での活動で一番印象に残っていること、エピソードがあれば教えてください
T:2022年に小金井宮地楽器ホールで私が演出して歌手としても出演したヨハン・シュトラウスのオペレッタ『こうもり』の公演でしょうか。44人のジュニアオーケストラと小金井で活動している合唱団。第一線で活躍している歌手たちと作った日本語歌唱、日本語台詞のこうもり。これが一番印象深いですね。
K:2021年から、こども向けの活動もスタートしたのですが、
「こがねいファミリーコンサート」では毎回たくさんのご家族が遊びにきてくれて、とても嬉しいです。
クラシックの研鑽がベースにありますが、クラシック以外のコンサートでも、
皆さんのお役に立てたり、家族の憩いの時間を作れるんだなぁと、新たな発見がありました。
今後の活動で考えていることがあれば教えていただけますでしょうか
T:子供向けの音楽教室や、子供向けのコンサートを充実させていきたいと考えています。
日本の童謡や唱歌を歌い継いでいく合唱団やオペラを市民参加型で作っていく活動など、
活動としては多岐に渡りますが、今後もいい音楽をお届けてしていきたいと考えています。
K:様々な立場で、その時々で出来る最大限に、音楽を届けていきたいです。
音楽教室の運営も、コンサートの運営も、思いつくことを全力でやりたいですし、
ステージで実演する立場の時は、集中してお客様と一緒に楽しみたい。
小金井を拠点として活動していますので、これから新たな出会いがあったり、
様々な方と長いご縁を賜われるのが楽しみです。