Vol.3247 江戸糸あやつり人形「結城座」の公演を見て

2023年12月10日から12月17日まで行われた結城座の公演に行ってきました。
伺ったのは公演日初日。
場所は阿佐ヶ谷のザムザです。

会場に着いたのは開演の15分前。
場内はすでに満員に近い状態で、
座っている方に避けていただきながら自分の席まで行きました。

ザムザに入ったのも初めてだったんですがとてもいいですね。
小劇場は本当に久しぶりで始まる前のなんとも言えない雰囲気にドキドキしました。
まさに肩を寄せ合いながらの鑑賞です。

今回の公演は「わが父、耳なしの琵琶奏者」。
小泉八雲の「耳無し芳一」を現代演劇として翻案したもの。

あらすじは、
かつて一流の琵琶奏者として名を馳せた芳一は、
今や見る影もなく、都会の片隅の薄汚れたアパートの一室で酒浸りの生活を送っていた。
そんな芳一の身を案じる息子は、叔父(芳一の弟)の和尚に、父を叔父さんの寺に置いて欲しい、と頼み込む。
林の奥深くにあるその寺は、700年の昔に源平の合戦が戦われた場所で、
今も戦死した武者の亡霊が出るという。
芳一は平家の亡霊につけ入られ、徐々に狂気に陥っていく。
芳一を亡霊の手に渡すまいと、和尚は芳一を縛り上げ、全身に経文を書き入れた。
経文が書き入れられた芳一の身体は、亡霊からは見えないのだ。
しかし、芳一は亡霊の呼び声に応えて縄を解き放ち……。
（パンフレットより）

小劇場ならではの臨場感と緊張感。
後ろの方の席だったので舞台をけっこう見下ろす形になったのですが、
演者の表情や息遣いなど、まさに一挙手一投足まで見逃すまいとする視線や雰囲気が、
前や横の席からひしひしと伝わってきます。

今回、結城座をはじめて見る機会だったのですが、
繊細な人形たちの動きにびっくりしました。
調べたところによると、木に吊るされた系は20本ほど。
どう操っているのかちょっと分からないのですが、
板を動かし、糸を指で動かしながら、人形たちを動かします。
演者たちはまっすぐと立っているわけではなく、
人形に合わせ腕を伸ばし、舞台を動きながらとても微妙な体勢で演じています。
少しも気を抜く瞬間がなく本当に大変だと思います。

時間としては90分くらいだったでしょうか。
舞台の端から端までじっくりと見渡しながらのあっという間の時間でした。

貫井北町のスタジオでも公演をしているようです。

みかんさんの記事
https://koganei-kanko.jp/maron/archives/56511

結城座は380年の歴史を持ち、
東京都無形文化財にも指定されている日本で唯一の糸あやつり人形劇団。
歴史ある人形劇団が地元にあること、また地元で見る機会があるってすばらしいこと。

もし機会があればぜひ取材をさせてもらいたいと思いました。