Vol.3338 三光院サロン「京都ルネサン〜若冲・蕪村・応挙の絵画世界を味わう〜」に参加して

　3月10日に三光院十月堂で行われた三光院サロン「京都ルネサンス〜若冲・蕪村・応挙の絵画世界を味わう〜」に参加しました。この日は、江戸時代中期の画家、伊藤若冲の傑作「動植綵絵（どうしょくさいえ）」全30幅を3回に分けて解説した春期講座の最終回でした。竹之御所流精進料理を味わうことができる此処で、江戸時代中期に活躍した個性豊かな京都の画家たちの話を聞けるのは感慨深いものがあります。お話は、元ＮＨＫディレクター・プロデューサーで教育テレビの「日曜美術館」や特集「ルーブル美術館」など美術番組に関わってこられた斎藤陽一先生です。
　若冲が10年近くかけて完成した「動植綵絵」全30幅は明和3年（1766）に臨済宗相国寺派の大本山である相国寺に寄進されました。その後相国寺から明治22年（1889）に皇室に献納され、現在は皇居三の丸尚蔵館に収蔵されています。斎藤さんが「最先端の高精細度映像を駆使して、江戸時代の『動物綵絵』をじっくりと読み解き、若沖の卓抜した画技とその絵画世界の魅力の秘密を探る」ということで、30幅を一幅ずつ解説されました。
　20幅目の群鶏図、鶏たちが重なり合い、羽根はアラベスク紋様、顔やトサカの赤色で描かれているため視線がさまよい、パラパラ漫画のように鶏たちが動いているように見えます。さらに遠近感をなくすことで距離感もない影もない光の方向性も喪失したシュールな絵画世界が生まれました。これが若冲マジックとも呼べる仕掛けだと話されました。
　このように30幅まで一幅ずつ解説され、裏彩色を使った技法やベルリン藍（プルシアン・ブルー）という顔料についても詳細な説明がありました。プロジェクターを使った斎藤先生のディープだけどわかりやすい解説になるほどと頷きながら、85歳で亡くなるまで絵画一途の生涯だった若冲とその世界に興味が湧きました。水墨画、枡目描き（モザイク画）、水墨点描画、拓版画など多くの作品を生み出しているため、これからも若冲の作品が発掘される可能性があるそうです。（まろんレポーター東西南北）