2019.08.29

催し・イベント・行事・活動

Vol. 1207 これまでにない熱気と感動と…！子ども参加ミュージカル『瓶ヶ森の河童』

感動の渦のなか、観客と役者の心がひとつに…！

2019年8月27日（火）の18:00から小金井宮地楽器ホール大ホールで上演された『瓶ヶ森の河童』は、これまでにない大盛況のうちに幕を閉じました。

過去最高の観客動員数だったのではと思わせる賑わいぶり。2017年夏の初公演以来、毎年舞台を観続けてきた筆者も、思わず拍手をする手に力を込めてしまったほど熱気に包まれた舞台でした。

公演に先立ち、まずは小金井市長、西岡真一郎氏が今日のためにがんばってきた子どもたちにねぎらいの言葉をプレゼント。

そして、保護者代表の高木恵美さんがご挨拶を述べられたあとは、いよいよ『瓶ヶ森』というふしぎで懐かしいワンダーランドの開幕です。

ところで『瓶ヶ森の河童』ってどういうお話なの？

…と好奇心を抱いてくださった方のために、画像とともに大まかなあらすじをお届けします。

ゲンゴロウは八竜川のほとりに住む腕利きの漁師。都会から嫁いできたルミコさん、小学5年生の一人息子小六、そして年老いた母、婆っぱとともに、つつましくも幸せな日々を送っていた。

歌と踊りが大好きな「天然キャラ」、ルミコさん。あまりに歌うことが好きなばかりに、ときおり暴走してしまうのだが…

…ゲンゴロウと小六、そして婆っぱの愛情に包まれて暮らすうち、次第に自然の草花と親しくなっていく。こちらはルミコさんとたわむれる可憐な森の花たち。

一方、山奥の村はずれに生まれた小六にとって、唯一の遊び場は瓶ヶ森。

ヤマグミの実を摘み、動物たちと遊び、森の奥深くに住む山人・名無しとの友情を育んでいく。

そんなある日のこと。ゲンゴロウが幻の魚と言われるタキタロウを生け捕る。

生きたタキタロウをテレビで放映すれば、ゲンゴロウは一躍有名人に！とルミコさんがはしゃぐのもつかの間、ゲンゴロウはとつぜん重い病に倒れてしまう。

婆っぱがまだ若かった頃、爺さんも同じ病に倒れたという。そして、その時は河童にもらった薬で完治したことを思い出す。

もしまだ河童がいるとすれば、瓶ヶ森の奥深く、名無ししか知らないケエラズ沼だろう。ケエラズ沼は、見たら二度と帰ることができないと言われている恐ろしい場所…。

小六は父を助けたい一心で、名無しを求めて夜の闇の中を走っていく。そして名無しの取り計らいにより、ついに河童のガ太郎とシバ天が小六の前に姿を現した…！

小六は河童に相撲の勝負を挑み、みごと勝利する。負けた河童が差し出した河童の秘薬を手に帰ろうとするが、その際ケエラズ沼を見てしまう。

見たら二度と帰ることができないケエラズ沼から帰してもらうために、小六は河童とふたつの約束をする。

ひとつめは、河童を見たことをだれにも言わないこと。

ふたつめは、生け捕りにしたタキタロウを放してやること。

小六のおかげで一命をとりとめたゲンゴロウ。八竜川に放流されたタキタロウは、元気に泳ぎ去っていった。

瓶ヶ森のお恵みにより、新しい希望の朝を迎えたゲンゴロウ一家。

だが小六は、果たして河童たちとの約束を守りとおすことができるのだろうか？

このあと、ゲンゴロウを救ってくれた河童と、名無しと、瓶ヶ森の動物たちを裏切る壮大な事件が巻き起こる……！

…と、この辺でやめておきます。

手に汗を握るクライマックスやいかに？続きは次回の『瓶ヶ森の河童』までのお楽しみ～！

演技も物語の展開も最高潮に達した第2幕後半では、客席から手拍子が沸き起こり、開場全体が感動の渦に包まれました。役者さんの熱意と、それを支える観客の暖かさが伝わってきて、涙がにじみました。

「人間と自然の森との間には越えてはいけない線がある」。名無しの言葉です。

その越えてはならない線を踏みにじる人間のせいで、消えていく命がたくさんあることを『瓶ヶ森の河童』は教えてくれます。

人間は地球の生物の頂点に君臨しているからこそ、責任がある。人間が今後どのように自然とつき合っていくべきか、深く考えさせられました。

感動あり、笑いあり、涙あり。『瓶ヶ森の河童』のような素晴らしい舞台を観る人が増えて、そのメッセージを真摯に受けとめる人が増えれば、人間が自然と共存できる世界が少しずつ実現していくのでしょうか。

海がプラスチックごみで汚染され、アマゾンの森が焼かれ、人間が造るビルや道路によって貴重な生態系が壊されてしまうこの世の中。

水と緑のまち小金井から、『瓶ヶ森の河童』のメッセージを日本全国に発信していくことに大きな意義があると感じました。

* なお、本記事で使用した画像は、公演前の通し稽古時に撮影されたものです。よって、本番の衣装・メークとは異なりますことをご了承ください。