Vol.1935　はけの坂道　再考　その19　市役所前の名前のない坂道と念仏坂　②

　昭和18年の地形図には、念仏坂を含む坂道が薬師道と連雀通りを結んで描かれていますが、幅の広いクランク状の道は描かれていません。昭和の中頃以降に住宅開発が進んだ頃、念仏坂の一部に被さるように新しく幅の広い道が造られたのでしょう。

念仏坂を登った先の坂上地区は桑畑や栗畑が広がっていたようです。

　明治2年の絵地図にもこの道が細い線で直線的に描かれているので、「念仏坂」を含むこの坂道は江戸時代からあった農道だったのでしょう。坂上地区の桑畑や栗畑などに坂下から農家の方がこの坂道を利用して通ったものと想像できます。

念仏坂らしき細い直線状の道が描かれています。

　芳須緑さんの「続小金井風土記」に、この坂道の南東側にお墓があり（今はありません）、夜などちょっと気味悪いというか、寂しくて念仏など唱えながら通ったとのこと、坂の名前の由来をその様に書かれています。　

　「TERAKOYA 」の前の坂道の途中から枝道のように延びている「念仏坂」を辿ると、狭いちょっと鬱蒼とした小径が西側に、更に南西、そして南側への曲がって延びますが、トータルで30mほどでしょうか少し進むと新しい住宅地の開発現場となり、道幅は広がります。以前は狭い道がもっと先まで続いて雰囲気のある良い小径でしたが、ここにも開発の波が押し寄せています。　　(クマさん）

「TERAKOYA」の前を下った坂の途中に念仏坂の入り口があります。ちょっと鬱蒼とした小径です。

念仏坂に入るとすぐ西側に折れて更に進むと開けた場所に出てしまいます。

振り返ると

ちょっと雰囲気のある藁ぶき屋根の古い家が見られます。

開発がここまで進んできています。

住宅地として開発されて道路は立派になりますが、昔の風情は無くなります。

薬師通りの方から念仏坂の入り口を見ました。ちょっと複雑な気分になる風景です

<< 次の記事

前の記事 >>

クマさん: 水と緑のまち小金井、自然にあふれた小金井ですが見慣れてしまってついつい見逃しがちな小金井の良さを積極的にレポートします。
　市内の各種イベントだけでなく、古き武蔵野の開発の史跡、野川の四季の変化、湧水や地下水などの変動の様子、また街なかを歩きながら気づく小さな自然の変化などをお知らせできたらなと思っています。

この記事をシェア