2020.05.18

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Vol.1554 茶碗にこめられた心〜リサイクル事業所の大切な仕事【追記あり】

青磁の美しい湯呑み。衝動買いして以来、筆者が愛用している宝物です。

お値段はなんと50円。中央線の高架沿い、中町のジャノメ跡地にあるリサイクル事業所で購入したリユース品です。

11日から営業を再開

小金井市シルバー人材センターが営むリサイクル事業所では、市民が持ち込んだ再利用可能な家具・木工品や日常生活用品などを簡易な補修・清掃を行ったうえで販売しています。

小金井市のごみ減量に貢献しているだけでなく、お値打ち品を求めてショッピングを楽しむ市民の憩いの場ともなっています。

新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から一時休止していましたが、内部の感染防止対策を講じたうえで5月11日（月）から営業を再開したと聞き、筆者も久しぶりに訪ねてみました。

なお、当面の間は営業時間を短縮し、正午から午後4時までとなるそうです。

【追記：5月25日現在、午前10時から午後4時までの通常営業に戻ったとのご連絡をいただきました。】

入り口は換気のために開放されており、「３密注意」の張り紙も。

店内にアルコール消毒液が用意されていました。

レジには新しくアクリル製パーティションも設置。もちろんスタッフの方全員がマスクを着用されていました。

え？リサイクル事業所がなくなる？

今をさかのぼること２ヶ月前、あることが気になった筆者はリサイクル事業所にお邪魔し、取材をさせていただきました。

事の起こりは2020年3月15日付の市報「こがねい」に掲載されていたごみ減量・リサイクル特集。そこに、こんなことが書いてありました。

リサイクル事業所は、令和2年9月以降に予定している電気設備改修工事等の実施までの間は、引き続き営業を継続する予定です。

9月まで営業を継続する予定…ということは、その後のリサイクル事業所はどうなってしまうのでしょうか？

とても気がかりだったので、リサイクル事業所の佐久間さんにお話を伺いました。以下、今年の3月初旬に伺ったお話の内容です。

28年目のリユース事業

佐久間さんによると、リサイクル事業所が営業を開始したのは平成4年12月。当時はいわゆるバブル経済が崩壊した直後で、モノがあふれていた時代でした。また、モノの大量生産・大量消費の影響が環境に目に見えて害を及ぼしていたことから、循環型社会の構築が始まった時代でもありました。

もともと小金井市役所が始めた事業でしたが、「リユース事業に関する協定」を締結した公益社団法人小金井市シルバー人材センターが当初から運営を請け負ってきたそうです。

充実の品揃え

所狭しと並ぶ器たち（3月初旬に撮影）

店内には商品がぎっしりと並べられており、机から和服まで常に3000点ほど揃っているそうです。

佐久間さんによれば、新型コロナウイルスの感染が拡大する以前は平均で一日80人ほどの来客があり、9ヶ月間ではおよそ1万5000点の売り上げがあったそうです。また、リピーター率が高いのも特徴なのだとか。

来客用のコーヒーセット5客。ブランド品でもお値段はお手頃です（3月初旬に撮影）

グラス容器も充実の品揃え（3月初旬に撮影）

立派な重箱も！

くつ・カバン類の拠点回収も

新品同様のディズニーフレンズも（3月初旬に撮影）

また、筆者が取材に伺った3月10日は、月に一度のくつ・カバン類の拠点回収日でした。

毎月第二火曜日の午後2時〜3時30分に、不要になった外履き用のくつ類（左右ペアのものに限る）、カバン類、ベルト、サスペンダー、ぬいぐるみ等を透明のビニール袋に入れてリサイクル事業所へ持参すると、無料で回収してもらえます。

逆に、くつやぬいぐるみをお探しの方は、拠点回収日に来店すると選択肢が増えそうですね。

まだまだ履ける状態の靴が勢揃い。サイズと好みが合えばラッキー！

リサイクル事業所のこれから

さて、気になるリサイクル事業所の今後について。

リサイクル事業所が現在建っているジャノメ跡地は、小金井市の新しい市庁舎を迎えることが決まっています。

実は、新市庁舎の建設地が決まってから、リサイクル事業所は2019年3月末に一旦閉鎖されました。しかし、その後市民の意向も反映され、2019年6月2日に再稼働を果たし、今に至っています。

ともあれ、新市庁舎の建設が始まれば現在の場所では営業できなくなってしまいます。市報にも書いてあるとおり8月下旬頃までしか継続できないようなのですが、今後はどうなるのでしょうか？

佐久間さんによれば、ジャノメ跡地での営業終了とともリサイクル事業所はなくなってしまいます。

いずれは二枚橋処理場跡地に整備が予定されている不燃・粗大ゴミ処理施設に併設されるという話も出ているものの、今のような営業形態ではなくなってしまうとのこと。

つまり、9月になれば小金井市はリサイクル事業所を失ってしまうのです。

茶碗にこめられた心

ゴミを減らすための三つの「R」…「Reuse（リユース）」、「Reduce（リデュース）」、「Recycle（リサイクル）」。リサイクル事業所はこれらすべての「R」の推進に携わっています。

しかし、一番大切なのはそこではない、と佐久間さん。

リサイクル事業所は、物と向き合う体験を提供してくれる。

ここなら大事に使ってくれる人の手に渡るだろう、と希望を持って大切な物を置いていく人がいる。今まで大事に使ってきた物だからこそ、そこには思いが込められている。

その思いが人から人の手につながることで、安心して物を手放していける方がいるーー。

ひとつひとつの茶碗や時計に込められた思い。

たとえブランド品でなくてもかけがえのない価値を持った物たち。記念品だったけど、手放さざるを得なくなった物たち。

リサイクル事業所は、そういう思いがこもった物を、市民が安心して持ち込める場所なのだそうです。