Vol.3359 文化財センターで名勝小金井桜の季節展が開催されています。

今回の見所は4月に今年100周年を迎える、小金井仮停車場の請願書などが展示されています。当時の人々の努力を見る事が出来ます。それまで小金井桜の花見は境と国分寺が最寄り駅でした。何故国分寺に駅が出来たのかも色々な逸話がありますので、順次紹介しようと思います。

展示は5月26日まで開かれています。

小金井桜の時期の国分寺停車場の混雑を描いた風俗画報です。

昭和43年の仮停車場設置願いです。「古来桜花ノ名勝ヲ以テ称セラル、開花爛漫ノ季節ニ際シテハ、汽車ノ利便ヲ籍リテ来リ、観ル者日々数万ヲ以テ算セラル、其人衆ヲ呑吐スルハ実ニ境・国分寺両駅ニ過キズ」としてその両駅が予想できないほどの人が押し寄せ、建物が壊れ、負傷者が出るので仮停車場設置をと訴えています。小金井村村長小川儀三氏が鉄道院総裁男爵の後藤新平氏宛てに出しています。

こちらは大正11年小金井停車場設置の陳情書で東京鐵道局長大道良太氏宛に出しています。連名で星野治亮村長、大久保善左衛門小金井保櫻会会長、地主総代として三田育種場（華丘香園）の磯村貞吉氏、小金井市農協の創始者星野廣助氏、明治時代に村長を務めた小川義三氏が名を連ねています。

停車場出願地として2カ所希望していましたが、東京鐵道局の予算の都合で現在の武蔵小金井のみとなりました。昭和39年にやっと東小金井駅が開業し、希望通り2カ所の駅となりました。

今回展示で初公開された大正13年の小金井仮停車場新設寄附連名簿です。三菱UFJ信託銀行のホームページでは大正時代の小学校教員の初任給が50円で、当時の1円は現在の4,000円程度の価値があるとの事です。そうしてみて行くと千円、五百円、畑などもあり、当時の方の寄付金額がいかに大きかったか分かります。

営業開始と発車時刻改正の広告です。境ー国分寺間の運賃は上等で15銭、中等で10銭、下等で5銭の3クラスがありました。

大正13年、14年の仮駅乗降客数です。大正12年の関東大震災後ですが、中心の日曜日には下等で26,555人も利用しています。

田山花袋の「一日の行楽」です。大正7年のこの本には当時の小金井桜の様子が描かれています。「百姓が内職に庭の植え込みの一部を開いて腰掛けだの、葦簀などを張って、客を呼んでゐるのも一特色である。唯イヤなのは乞食が多いことだ。小金井橋付近が一番良い。」と書かれています。またこの中で「昔の古い樹で枯れて了つたのがかなりに多い。」と書かれています。今から100年前も丁度植え替える時期でした。