2021.09.06

催し・イベント・行事・活動

Vol.2040 お見事！伝統芸能「はしご乗り」披露～小金井神社で奉納

9月5日（日）午前中に、小金井神社で鳶職の皆さんによる奉納芸が披露されると聞き、取材させていただきました。

今回奉納芸を披露されたのは、鳶職の東都連の皆さんです。

元々はオリンピックのパブリックビューイングの映像に演技が映し出される予定でした。

ところが新型コロナの感染拡大でパブリックビューイングは中止となりました。

せっかく準備を進めていたので、どこかで実施できないかと場を探していた所、新しい社殿が2020年に竣工した小金井神社に奉納という形で、披露する場が実現したのだそうです。

開始30分前。洗い流されたように草木が綺麗な雨上がりの参道です。

鳶職の皆さんは東京各所から60名ほどが集まりました。羽織っている半纏（はんてん）は、それぞれの所属で色やデザインが違います。チームのユニフォームといった所でしょうか。

一旦神社の外に出て、木遣り（きやり）を歌いながら参道を歩きます。

木遣りというのは元々労働歌で、共同作業をする時、仲間と呼吸を合わせるために歌ったそうです。今日の木遣りもピッタリ息が合い、美しく響いていました。

３本の纏（まとい）が盛大に振られます。20キロほどの重さがある纏は、戦国時代に敵味方の目印に使われていた馬印がルーツという事です。途中持ち手が交代しながら先頭を進みます。

「はしご乗り」の始まりです。青竹で作られたはしごを立てるとすごい高さです。６メートル以上もあるはしごの上部で演技をするのは大変な技術と勇気が必要だと思いました。

私は、出初式での「はしご乗り」をテレビでは見たことがありましたが、間近で見るのは初めてです。はしごは、直接手で支えるのではなく、12本の鳶口（とびくち）で支えます。絶妙な力加減でバランスをとり、真ん中、真っ直ぐを維持し続ける事にとても驚きました。

「はしご乗り」は４人の方が交代で演技を披露しました。素晴らしい技の一部をご覧ください。

「はしご乗り」の演技は、乗り手と支え手の信頼関係と、息の合った共同作業で成り立つものなのですね。木遣りを歌う意味が少しわかったような気がしました。

江戸時代、人口が密集して火事の多かった江戸の町。ポンプなどない時代は、家を壊す事で延焼を止めていました。建築現場での高所作業の専門職で、どうすれば素早く家を壊せるか知っている鳶職は火消しとして活躍しました。「はしご乗り」は、はしごを使って高所をとびまわる訓練でもあったようです。

最後に、ピカピカの新しい拝殿の前で宮司さんと皆さんの記念撮影が行われました。

皆さんお疲れ様でした。伝統芸能である「はしご乗り」や「木遣り」が未来へ継承され、多くの人に披露できる場が早く戻ってほしいですね。